カルメンの定休日。
予定を入れない日だったので一日拙宅ですごす。
国道沿いの大型古本屋を物色。たまにいくと掘り出し物にめぐり合えるのだが、今日は成果なし。
悔しいので一冊だけ買おうと決め、堀越千秋著『アンダルシアは眠らない』(集英社文庫)を買う。帰宅後、缶チューハイを飲みながら読み始めると、これがとまらない。かつてこの人のイラスト付きエッセィが某日刊紙の日曜版に掲載されていて、その時も怪読していた。
スペインに住んでいる画家であり、かつフラメンコの魅力にとりつかれて、カンテも歌ってしまうという達人である。
同書の中にこんな一節がある。
「“唄知り”として名高かったエル・チャケータ(ヒターノの唄い手。一九八一年没)は、「いちばん難しい唄(カンテ)は?」との問いに、「技術的にはブレリアさ、いつも片っぽの耳の中にあの早いコンパス(リズム)を感じてなくちゃならんからね。だが、いちばん難しいって言ったら、決まってるよ、シギリージャだ。いろんな意味で重労働だよ」
こうしたフラメンコに関する一節がフラメンコを月に何回かカルメンで見るようになって実感として理解するようになってきた。
ブレリアは悲しさの中にも、悲しみを踊りこんだゆえの華やかさが感じられるが、シギリージャには悲しみを悲しみのままに表現するので、バイレの真の技量が試されるような気がする。これは踊りの話だが、カンテもまた踊りに呼応しているのだということを知って驚く。
これからカンテでどのような詩(うた)が歌われているのかか、(日本語だけど)注視するようにしよう。
ちなみに、カルメンの舞台で言えば、先ほど(2月5日)に見た下山アキコのブレリアは秀逸だった。コンパス(踊りのコマ割り)の正確さ、身体の切れの良さが抜群なのである。シギリージャでは今は踊ることをを休止しているが前中ケイコがよかった。まさに本人がシギリージャの曲そのものになりきっていたのだ。